最近、高校生から大学で勉強して大学院に行って研究者になる進路を考えているのですが、実際のところ大学院修了後の進路ってどんな感じですかという質問が来ました。実は、私大学院を修了していますし、様々なところにつながりがあったりします。なので、今回は私の経験をもとに書いてみようと思います。
そもそも、博士課程とは?
→文部科学省のHPによると「博士課程とは大学院に設置されている課程で、研究者や高度な専門性が求められる社会で活躍するための能力を養うことを目的としています」https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/004/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2010/02/16/1288658_2.pdf
修業年数は5年で一般的には授業に出席も求められる博士前期課程(修士)と授業がほぼなく研究に専念できる博士後期課程(博士)に分かれていることが多いです。但し、社会人で博士課程に行くとなると会社の業務も忙しいこともあり修業年数が伸びます。大学院に在籍しなくても企業や研究所などで行った研究をもとに博士論文を書いて審査に合格すると、「論文博士」の学位が得られます。
博士前期課程(修士課程)
→博士前期課程は修士課程と呼ばれていることも多く、4年制の大学(飛び級などの特例もある)を卒業した後に高度な知識や技術を習得するために行く場所になります。生活としては授業と研究室(ゼミ)の仕事をこなしていくというイメージです。そして、修士論文に関しては学部の卒業論文よりもテーマを深堀して研究していきます。忙しさに関しては研究室によるので一概には言えませんが、理工系は忙しいところが多いイメージになります。アルバイトに関しては大学にもよりますがTA(Teaching Assistant)があるので仕事に困ることはなく大学でお金を稼ぐことができます。ちなみに、私の時のTAの時給は普通の居酒屋のアルバイトの2.5倍でした。私立の大学院によっては給付奨学金が充実していることがあるので国公立大学よりも安くいくことができます。修士論文に関しては量としては卒業論文と同じではあるが、内容が修士論文の方が深くなります。
博士後期課程
→博士後期課程は博士前期課程と違い授業がほとんどありません。その分、研究がメインになります。博士後期課程になると大学にもよりますがTA(Teaching Assistant)だけでなくRA(Research Assistant)に従事することができお金も稼げます。私立大学によっては博士後期課程が無料になっていることもあります(諸条件あり)。ただ、研究が終わらないと修了しないので、3年で終了できない場合もあリます。実は、博士後期課程は研究のテーマ決めが鍵になっていることが多いです。
博士課程の就職
→博士課程の就職といえば大学や研究所と思われることも多いかもしれませんが、必ずそういうわけではありません。人によって違うということが正直なところだったりします。
博士前期課程までいくとどんなところに就職しているのか
→研究科や研究テーマによるというのが正直なところです。博士前期課程の就職イメージは学部の就職先や職種はあまり変わらないです。文系だと営業、企画、理系なら研究所、工場がメインになってきます。大学生よりも大学院生の方が専門性があるので、民間企業でも研究に携われる可能性が高まります。博士前期課程で私立高校で教えると給料が学部卒よりも全然違うこともあります。逆に、研究テーマにもよりますが大学に残って研究する人はめちゃくちゃ少ない印象です。但し、企業によっては安い賃金で雇える学部卒を求められていることがあるので注意が必要なこともあります。
博士後期課程までいくとどんなところに就職しているのか
→学部にもよりますし、人にもよります。ただ、博士課程まで行くとやはり大学に残って研究することがほとんどです。一般就職は企業とテーマが一致しているごくわずかな人はできていますが、それ以外の人はできていません。あと、主婦(主夫)や学校の先生になった人もたまにいました。ただ、大学に残る問題点は有期(大概は3年、5年)であり、給料が時間換算すると高くないんです。年数が経てば有期雇用に転換と甘い誘惑で書いていてもところもありますが、大学はそんなにお金があるわけではなくそんな甘いことはないですのでスパッと切られます。あと、最近多いのは、海外に行って研究して現地に住むという選択肢を選んでいる人もいます。なので、博士後期課程を取り巻く環境は良いわけではありません。
アメリカの大学の博士課程は?
→日本の博士課程の状況がよくないなら海外の博士課程に行こうと思った人も多いのではないのかなと思います。アメリカを例にすると、大学院入試でエッセー、推薦状、TOEFLやGREのスコア、GPA(評定平均値)が5段階中4.8を求められることが多く、決して簡単な道ではありません。大学や学部にもよりますが、博士課程が一貫性(前期課程と後期課程)になっていることも多く日本とは環境が違います。アメリカの大学院は9月入学が多いので入学時期がずれたりもします。下宿代も考慮にいれると、アメリカの大学院は学費が高い傾向にあります(奨学金が充実しているので学費は無料になることが意外に多い)。今後、アメリカで研究していくならアメリカは住みやすいのかもしれませんが、日本に帰ってくる予定があれば時期的にラグがあったりします。
まとめ
→大学院修了後の進路と大学院の実態って研究科や研究テーマによって全然違うので一概には言えません。博士後期課程は研究がメインに対して博士前期課程は授業や研究も学部の延長線上にあります。博士後期課程は研究者になるのが就職になりますが博士前期課程は就職も多種多様にあります。なので、本気で研究者なら博士後期課程ですし、就職も視野に入れるなら博士前期課程になります。
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